これまでの9つの想定問答は、是非、
を改めてご参照頂ければと思いますが、

本日ご紹介する最後の「想定問答」は、
以下のものです。

是非、じっくりご一読ください!


Q10.
新聞やテレビで、
学者や専門家が消費増税すべきだって言ってるけど、
彼ら、嘘ついてるの?

A.はい。「真実でないこと」であるという
広辞苑の「嘘」の定義に従うなら、
彼らはおしなべて「嘘」をついています。
誠に驚くべきことですが、残念ながらそれは、真実です。

別冊クライテリオン:消費増税を凍結せよ
に寄稿いただいた20名以上もの専門家達は、
皆、口をそろえて、
「増税派の主張は間違いだ」と、
学術的視点から指摘しています。

例えば、経済学者の岩田規久男教授は、
上記の別冊クライテリオンの中で、

「財務省と同省の政策を支持するエコノミストは、
消費税増税の経済に対する影響が軽微であるという
理由として次の3点を上げるのが常である」

と指摘した上で、
それぞれの理由が
正当化し得ないものであるということを
一つ一つ丁寧に解説しています。

同じく経済学者の浅田統一郎教授も、
別冊クライテリオンの中で、

「消費税増税の悪影響を軽視して
増税を正当化する発言が、
財務省の影響下にある
一部の経済学者や政治家等によって
なされている」

と指摘した上で、
彼らがそうした発言の根拠にしている理論
(マンデル=フレミング・モデル)が、
如何に日本経済に適用できないのかを、
厳密に論証しています。

あるいは、経済学者の松尾匡教授は、

「消費税増税推進派は、
2014年の消費税引き上げに先立ち、
引き上げても消費への影響は軽微だと
言いはっていたが、
それは本当は推進の理由としてはおかしい。
・・・『そのためにやったのだ』と
開き直らなければならない。」

と、消費増税推進派が
根本的に間違った主張を
しているに過ぎないことを、
同じく別冊クライテリオンの中で、
辛辣に批判しています。

さらには、経済学者の野口旭教授は、

「デフレは悪くないとか、
インフレは問題だとか、
ハイパー・インフレになったら
どうするとかいった
類いのものが多かった。
それは、長期デフレを招いた政策判断ミスを
糊塗して組織を守るために、
旧日銀がそのような
プロパガンダを陰に陽に流布し、
主要なメディアやエコノミストが
それにすっかり洗脳されたためである。」

と、メディア上での発言の多くが
「プロパガンダ」や「洗脳」
の帰結に過ぎないと
別冊クライテリオンの中で、
指摘しています。

このように数々の経済学者が、
「増税派」の学者やマスメディアが
「プロパガンダ」と言い得るほどの
(広辞苑の定義から言う)

「嘘」

をついているということを、
論理的に指摘しています。

では、なぜ、
増税派の学者やマスメディアは
「嘘」をついているのでしょうか。

この点を論じた実に様々な記事が、
別冊クライテリオンには寄稿されています。

第一に、経済学者の青木泰樹教授が
「増税論に潜む経済学者の嘘」
という本誌寄稿記事の中で、
そもそも「経済“学”が想定する世界」と
「現実の世界」とを混同している
(一部の)経済学者達が、
消費増税を主張しているに過ぎない、
という議論を展開しています。

例えば、経済学がモデル分析を
容易にするために導入したに過ぎない
「予算制約式」なるものに基づいて、
「現実政府も予算制約式通りに運営されねばならない」
という倒錯した議論を展開し、
その帰結として消費増税が主張されている、
というメカニズムを紹介しています。

第二に、
別冊クライテリオンの編集長の筆者も
『「学者のウソ」が、日本を滅ぼす。』
と題した記事の中で、
消費増税を目指す財務省の
意向に沿った発言を繰り返す
「御用学者」が存在している可能性を、
客観的な事実情報に基づいて
指摘しています。

この可能性については、
高橋洋一教授が本誌座談会の中で、
そして小浜逸郎氏や、
先に紹介した経済学者の先生方も、
(上記の引用からも見て取れる様に)
言外に示唆・暗示しています。

第三に、
マスメディアの実態についての
博士論文をまとめた田中皓介助教は、
「消費増税を巡る財務省プロパガンダ」
という記事の中で、
政府内でもとりわけ巨大なパワーを誇る財務省が、
マスメディア各社に消費税を支持する論調の記事を
書かせるために
実に様々なアプローチで
陰に陽に巧みに圧力をかけている、
という様子をマスメディア研究の視点から
「学術的」に明らかにしています。

同様の構図を、
「新聞だけが軽減税率の対象となる」
という論点に基づいて、
高橋洋一氏、そして、評論家の宮崎哲弥氏
本誌座談会の中で指摘しています。

第四に、
消費増税は「財界」の影響が強く、
その影響に引きずられる形で進んでいるという構図が、
政治学者の施光恒准教授に指摘されています。

上記の座談会でもその点は指摘されています。

以上に加えて、
消費増税が進められる
社会的、政治哲学的背景が
存在していることも、
複数の論者から指摘されています。

まず、
評論家の佐藤健志氏は、
消費増税肯定論の背後には、

「ニッポンのためには、
大衆が嫌がっても断固として、
消費増税を行い、
立派な、自立した国に
ならねばならぬのだ!」

との思い込みがあり、
どれだけ不条理を指摘しても
彼らの耳には何ら届いていない
という構図を描写しています。

さらには文芸批評家の浜崎洋介氏は、
この不条理な現象は、
日本人が「思考」しなくなったことの帰結であると、
以下のように論じています。

『二〇一九年一〇月に「予定」されている
消費増税ほどに、
日本人における根深い「弱さ」を
示し出しているものはない。

そこに見出されるのは、
刻々と変化する経済的現実に対して
プラグマティックに思考していく態度ではなく、
一度決めた目標(財政再建のための消費増税)と、
それによって醸成された
「空気」(財務省内の融和と調和)のなかで、
甘い「期待」(消費増税の影響は軽微なはずだ)
だけを頼りに、
「予定」に向かって
なし崩し的に突き進んでいく日本人の姿、
これまで何度か目にしてきた
「思考」しない日本人の姿である。』

この様に、
消費増税論に「ウソ」が潜んでいる構図は、
経済学のみならず、
政治学、行政学、社会学、社会心理学、
マスメディア論のそれぞれの観点から
様々に描写されているのです。

つまり、
先の大戦の敗戦によって作り上げられた
「戦後レジームの中」で
「思考停止」に陥った日本人達が、
最強官庁によるプロパガンダや洗脳、
圧力によって都合よく作り上げられた
メディアや御用学者達の論調に載せられる形で、
深刻な経済被害が生ずることが明らかである
「10%消費増税」が、
さながら集団自殺を行うかのように
愚かにも断行されようとしている―――

という構図が、
別冊クライテリオンに寄稿された様々な学者、
評論家たちの論説から浮かび上がるわけです。

・・・・

いずれにしても、
すくなくとも筆者がみた限り、
今日の消費税推進論者の言説の中には、
まともなモノは、当方が拝見した限り、
一つもありません。

彼らはおしなべて「ウソ」をついている
(そうでなければ、騙されている)

としか言いようがありません。

ついては、身近な増税論者がいれば、
是非、今回までの三回にわたってご紹介した、
「想定問答」を活用いただきつつ、
徹底的に反論して差し上げて頂ければと思います。

日本が少しでもまともな国に近づくには、
こうした草の根的な
地道な取り組みが、
どうしても必要なのだと思います。

どうぞ、よろしくお願いいたします。