「世界の記憶」日本軍「慰安婦の声」共同申請登録に反対する日本の学者声明
****************************************表題の件、韓国挺対協をはじめとする8か国のNGOが申請した慰安婦関連資料に関し、ユネスコの登録小委員会が登録すべしとの提言を事実上の最終決定の権限を持つ国際諮問委員会に上げた模様です。
同申請は慰安婦性奴隷説に立ち、元慰安婦が画いた昭和天皇を処刑する構図の絵などをも「文化遺産」として登録を強行するもので、わが国と先祖の名誉を著しく傷つけるものです。
10月下旬に開催される予定の国際諮問委員会で登録を阻止すべく、政府は懸命の外交活動をしている様子です。民間の学者としても学術的観点からの登録反対の声を出そうと考え、歴史認識問題研究会(西岡力会長)が事務局となり学者による反対声明を出すことを企画しました。呼びかけ人に下記の5人がなり、この問題にずっと取り組んできた高橋史朗明星大学教授が同研究会の協力の下、草案を書きました。ご参照ください。
2017年10月16日♪
「世界の記憶」日本軍「慰安婦の声」共同申請登録に反対する日本の学者声明
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ユネスコの「世界の記憶」に8カ国が共同申請した「日本軍『慰安婦』の声」資料について、仮に登録小委員会(RSC)が2015年の「南京大虐殺」文書に続き、国際諮問委員会(IAC)に登録を勧告したのであれば、私たちは以下の通り、異論がある。従ってIACにおかれては、審査に及ぶことなく、関係者に対話の機会を提供するよう要請したい。何故なら「世界の記憶」事業は、加盟国間の友好と相互理解の促進を旨とするユネスコの下で実施されており、対立のもととなる事実には必ず対話の機会が提供されるべきだからである。
まず手続き上の問題点について指摘したい。
第一に、ユネスコは2015年、学術的批判があるにもかかわらず、IACがRSCの勧告を鵜呑みにして「南京大虐殺」文書の登録を強行した。登録された同文書は未だに公開されていないことは「世界の記憶」事業の根幹にかかわる由々しき事態である。今回の共同申請についても当事者である日本の学者・民間団体との協議を拒否している。
政治的濫用から「世界の記憶」事業を保護するのに必要な枠組みとして、疑義が呈された申請案件の扱いで合意が得られない場合、関係団体の対話を継続すること等を明記した制度改革の最終報告を踏まえて、共同申請された米国立公文書館(NARA)所蔵文書と同一の文書が含まれる「慰安婦と日本軍規律に関する記録」文書の登録をユネスコに申請した日本の保守系団体が、8月23日に共同申請側との協議を要請する公開状を発出したものの、公開状に対する誠意ある回答がない。
第二に、ユネスコ事務局は4月10日付けのメールで、「政治的案件」について登録小委員会の予備的勧告を申請者に伝達し、同案件の一つである日本の保守系申請団体に対しては、「歴史の審判や解釈を行うものではない」「申請書の文言が主観的」「特定のユネスコ加盟国に対する特定の主張が含まれる」「現在の日本政府の決定に影響を与えかねない」「所有者の同意取り付けが必要」と勧告したが、8カ国の共同申請にも同様の問題点があり、日本の申請団体のみに勧告し、共同申請側を不問に付すのは二重基準と言わざるを得ない。
次に、共同申請資料の内容の具体的問題点について指摘したい。
第一に、申請書の要旨の冒頭に明記されている「慰安婦とは日本軍によって性奴隷を強制された婦女子」という定義は不適切である。ベトナム戦争時の性暴力や朝鮮戦争時の韓国軍慰安婦などは不問に付し、「日本軍慰安婦」を特別視し、その徴募方法について具体的証拠を示さずに強制性を強調し、慰安婦と性奴隷を同一視していることは歴史的事実に反する。
米政府が7年の歳月と3千万ドルを費やして、CIA、FBIなどの省庁間作業部会が840万頁の機密資料を調査したが、慰安婦の強制連行や性奴隷化を裏付ける米政府・軍の文書は皆無であった。第二に、8カ国の共同申請と日本の保守系申請団体の両者が登録申請したNARA所蔵文書には、共同申請が主張している「性奴隷」「強制性」「少女」ではないことを立証する史料が混在している。同文書によれば、慰安婦には報酬を得、それによって借金を返し、多額の貯金や送金を行った者もいた。所有権の対象である「奴隷」ではなかった。日本軍慰安婦は「性奴隷」というのは、多くの日本の学者や米韓の有力学者の見解に反するものである。
第三に、共同申請された英「帝国戦争博物館(IWM)」所蔵文書(30点)に含まれているマンダレー駐屯地慰安所規定は、慰安婦は「公娼」であったことを示しており、申請された写真や英軍兵士の証言も「世界の記憶」の登録選考基準である「真正性」の規定に反するものである。目撃した具体的日時・場所・人を示すべきオリジナルな第一次史料が不明であるが故に信憑性が薄い。同証言には朝鮮戦争時にオーストラリア軍によって運営されていた慰安施設を日本軍の慰安施設「芸者ハウス」としたり、朝鮮戦争時の仁川の売春宿や中国国民党占領地域の売春についての証言が混在している。いずれも「性奴隷を強制された」という共同申請の主張を立証するものではない。
第四に、共同申請が日本軍の慰安婦制度を「ホロコーストに匹敵する戦争悲劇」と主張しているのは、悪意に満ちた誹謗中傷である。この点に関して、カナダ・イスラエル友好協会は2016年10月16日、ユネスコに意見書を提出し、そのような表現は「ホロコースト」の意味を捻じ曲げていると訴え、「ユネスコは、設立当時の原則を踏みにじり、最も攻撃的な加盟国の政治課題や目的を他の加盟国に強要する道具になってしまった」と批判している。
第五に、日韓両政府の外交合意を否定する反政府運動団体が自らの活動資料を「世界の記憶」として共同申請している。また、元慰安婦の絵などの申請が指摘されているが、これらは「世界の記憶」にふさわしい資料ではない。「世界の記憶」の一般指針2.6.2において、「絵画や三次元人工物、美術品等といった再現不可能な『オリジナル』としてデザインされた品目それ自体は(記録遺産から)除外される」と規定しているからである。にもかかわらず、これらが登録されれば、無用な対立と混乱を惹起し、世界中の反政府団体の活動資料の申請が殺到する異常事態が起きかねない。
第六に、共同申請は慰安婦少女像の「平和のシンボル」としての世界的意義を強調しているが、実際には、日系子女へのいじめなどの地域社会における様々なコミュニティーの平穏な共生が妨げられる事例が生じ、「紛争のシンボル」と化している。
IACにおかれては、以上の論点の重要性をご理解いただき、共同申請については審査に入る前に、必ず関係者に対話の機会を提供するよう強く要請したい。
「世界の記憶」日本軍「慰安婦の声」共同申請登録に反対する日本の学者の会
2017年10月16日現在、呼びかけ人と賛同者合計89名<呼びかけ人>
伊藤隆(東京大学名誉教授)
田中英道〈東北大学名誉教授〉
渡辺利夫(前拓殖大学総長)
高橋史朗(明星大学特別教授)
西岡力(麗澤大学客員教授)賛同者
キンモンス アール大正大学名誉教授
青柳 武彦元国際大学教授
新井 耕一郎愛知学院大学教授
荒木 和博拓殖大学教授
有馬 哲夫早稲田大学教授
池井 優慶應義塾大学名誉教授
磯前 秀二名城大学教授
市村 真一京都大学名誉教授
伊藤 憲一元青山学院大学教授
稲村 公望元中央大学大学院客員教授
潮 匡人東海大学講師
馬田 啓一杏林大学名誉教授
梅澤 昇平元尚美学園大学教授
梅原 克彦 元国際教養大学教授
恵谷 治元早稲田大学客員教授
占部 賢志 中村学園大学教授
呉 善花拓殖大学教授
大森 弘元八洲学園大学客員教授
大岩 裕次郎東京国際大学教授
大原 康男國學院大學名誉教授
岡本 幸治大阪国際大学名誉教授
小川 令日本医科大学教授
長田 五郎横浜市立大学名誉教授
長田 三男元早稲田大学教授
貝塚 茂樹武蔵野大学教授
加藤 秀治郎東洋大学名誉教授
勝岡 寛次明星大学戦後教育史研究センター
金岡 秀郎国際教養大学特任教授
川久保 剛麗澤大学准教授
慶野 義雄平成国際大学名誉教授
北村 稔立命館大学教授
久野 潤名城大学講師
久保田 信之学習院女子大学名誉教授
久保田るり子國學院大學客員教授
黒田 耕成広島大学名誉教授
小堀 桂一郎東京大学名誉教授
古森 義久麗澤大学特別教授
小山 常実大月短期大学名誉教授
坂本 正弘元中央大学教授
佐瀬 昌盛防衛大学名誉教授
篠原 敏雄国士舘大学教授
柴 公也熊本学園大学教授
島田 洋一福井県立大学教授
下條 正男拓殖大学教授
杉原 誠四郎元城西大学教授
高木 桂蔵静岡県立大学名誉教授
高森 明勅国学院大学講師
高山 正之元帝京大学教授
田久保 忠衛 杏林大学名誉教授
高原 朗子熊本大学教授
竹田 恒泰皇學館大學講師
崔 吉城広島大学名誉教授
鄭 大均首都大学東京名誉教授
富田 庸英ベルファースト・クイーンズ大学教授
中田 雅敏八洲学園大学教授
西 修駒澤大学名誉教授
西尾 幹二電機通信大学名誉教授
新田 均皇學館大学教授
長谷川 三千子埼玉大学名誉教授
秦 郁彦元日本大学教授
浜谷 英博三重中京大学名誉教授
原田 博夫専修大学教授
東中野 修道亜細亜大学教授
樋口 隆一明治学院大学名誉教授
平間 洋一元防衛大学教授
福井 雄三東京国際大学教授
福田 逸明治大学教授
福地 惇高知大学名誉教授
藤井 厳喜拓殖大学講師
藤岡 信勝 拓殖大学客員教授
古田 博司筑波大学教授
平川 祐弘東京大学名誉教授
ペマ ギャルポ拓殖大学教授
松浦 光修皇學館大学教授
松井 嘉和大阪国際大学名誉教授
馬渕 睦夫吉備国際大学客員教授
宮原 悟名古屋女子大学教授
百地 章日本大学名誉教授
八木 秀次麗澤大学教授
矢野 義昭岐阜女子大学客員教授
山下 英次大阪市立大学名誉教授
吉田 好克宮崎大学教授
吉田 頼且拓殖大学名誉教授
吉原 恒雄元拓殖大学教授協力:不当な日本批判を正す学者の会(AACGCJ)会長 田中英道 東北大学名誉教授