元小泉首相の時代にが掲げた経済政策スローガン「聖域なき構造改革構造」。
その改革のひとつが郵政民営化でした。そしていよいよ日本郵政上場されたわけですが、本当に日本国民のためになるのでしょうか?
『三橋貴明の「新」日本経済新聞』によると次のように書かれていました。
都会に住んでいると感じませんが、田舎に帰る旅に心配していたことが現実化してしまいそうです。
11月4日、日本郵政グループの内、「日本郵政」「
ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の
三社の株式が上場されました。現在、日本郵政グループは「日本郵政」という親会社の下に、
「日本郵便」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の三社が子会社としてぶら下がる形になっています。 現段階では、政府は三社の全株式を売却したわけではありません。
もっとも、竹中平蔵氏は、9月7日付け東洋経済において、
「株を100%売却しなければ、民間企業と同じ制度・法律が適用できない」と発言しています。
最終的には、特に「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の株式の過半が売却される可能性は高いと思います。 結果的に、「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」は、
日本郵政グループから切り離され、
赤字が確実に継続する「日本郵便」が日本郵政グループに残ることになります。 『日本郵政、減収減益=郵便125億円の赤字-9月中間決算
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2015111300953』 日本郵政の9月中間決算は、減収減益になりました。
日本郵便の純損益が125億円の赤字となり、足を引っ張った形になりましたが、
我が国で郵便事業をユニバーサルに提供しようとすると、赤字になるに決まっているのです。 何しろ、人口が少ない地域にも「平等」に郵便サービスを
提供しなければなりません(これが、ユニバーサルサービスです)。 現在、日本郵政は日本郵便の赤字を、ゆうちょ銀行、
かんぽ生命の黒字でカバーしています。
今後、「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の株式が売却されていき、
日本郵政から完全に切り離されたらどうなるのでしょうか。法律で、
日本郵便は郵便事業をユニバーサルに提供する義務があります。
というわけで、「ゆうちょ銀行」や「かんぽ生命」が切り離された以降、
郵便事業には「税金」が投入され、ユニバーサルサービスを維持することになるでしょう。 もしくは、
人口が少ない地域に郵便サービスが提供されなくなります。 すなわち、郵政民営化から郵政グループの株式上場という「
スキーム」には、
最終的には国民の税金から「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株主への
所得の移転という一面があるわけです。「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の黒字を「日本郵便」
の赤字穴埋めに使えず、
さらにユニバーサルな郵便サービスを提供する以上、そうならざるを得ません。 もしくは、郵便サービスの品質が著しく下がり、
日本国民が損をします。 結局のところ、郵政民営化以降の一連の「郵政改革」が、
単なるレント・シーキングであることが分かります。