「加瀬英明のコラム」メールマガジンを読んで始めた知ったが、オリンピック大会のための聖火の採火式はナチスの式典だったそうです。

古代ギリシャのオンリンピア大会でも、1896年に近代オリンピックが始まってからも聖火リレーは行われていなかったそうです。

聖火リレーが行われるようになったのは、1936年のベルリン大会から。

ずーと白い人達中心の世界観で動いているのですね。
それに気づかずに「海外では、、、」と思考停止になる日本人。

送信日 : 2020/05/12 (Tue)
題 名 : パンデミックが示したグローバリズムの弊害

 2月にギリシアで、東京オリンピック大会のための聖火の採火式が行われた。テレビのニュースで観たが、ナチスの式典だということに触れることがなかった。

 古代ギリシアのオリンピア大会でも、1896年に近代オリンピック大会が始まってからも、1936年のベルリン大会まで聖火リレーが行われなかった。

 ヒトラーのナチス・ドイツがこの年にベルリン大会を主催したが、すべての道がベルリンに通じることを示威するために、ゲベルス宣伝相が発明したものだった。

 いま新型コロナウィルスが、イタリアで猛威を振っている。1922年にファシスト・イタリアの独裁者となったムソリーニが政権を握ると、真っ先に「非衛生的だから握手の悪習を廃止して」、ローマ帝国時代の敬礼だった右手を前に高く掲げる、「サルート・ロマーノ」(ローマ式敬礼)にかえるように求めた。

 1918年からスペイン風邪が全世界に流行して、数千万人の死者が発生したからだった。ヒトラーがナチス党の党首となると、ファシスト・イタリアを模倣して、ローマ式敬礼を採用した。

 中国武漢(ウハン)から広まった新型コロナウィルスが、米ソ冷戦の終結後に人類の世界体制となったグローバリズムを、粉砕した。ウハン・ウィルスによるパンデミック(世界的流行)が、いつ終息するか分からないが、そのもたらした衝撃があまりに大きいだけに、終息しても、世界がもとに戻ることはないだろう。

 グローバリズムは世界を一つのものとしてみて、投資、製造、人や物品の移動から国境をなくしてしまった。

 2002年にサーズ(重症急性呼吸器症)が、やはり中国広東省から始まった時に、中国は世界経済の4%にしか当たらなかったが、2020年に16%を占めるようになった。

 中国が問題だ。先進諸国は中国に過度なまで部品や素材のサプライチェーンを依存してしまったために、国内の工場の操業や供給が停まって、経済が大きな打撃を蒙っている。

 サーズは、中国人が麝香猫(じゃこうねこ)科のハクビシンを、好物として食べることから起ったといわれる。中国政府の発表によっても新型コロナウィルスも、人々が爬虫類科のセンザンコウや、ハクビシン、蝙蝠を食べているために発生した。武漢では市場でこれらの野生動物が食用として売られていたが、ウハン・ウィルスが発生してから、中国政府がはじめて禁止した。

 トランプ政権が中国の覇権主義に掣肘を加えるようになったものの、中国は世界経済システムのなかに組み込まれ続けた。だが、今回のパンデミック騒動のなかで、中国の信用が大きく傷ついた。中国に対して、新疆ウィグル、香港に対する圧政、外国企業に対する不当な干渉によって、すでに嫌気がさしていたが、中国がウハン・ウィルスの発生後に2ヶ月近く隠蔽していたことが、中国のイメージに止めを刺した。

 私は今回の新型コロナウィルスによるパンデミックを境として、「チャイナ」と「グローバリゼーション」の二つの言葉が持つ意味が、大きく変わったと思う。

 グローバリゼーションはそれぞれの国の固有な文化による箍(たが)を弱めて、人々を無国籍にしたために、放縦になって快楽を追求させてきた。その結果、先進諸国における死因は生活習慣病によるものが、大多数を占めるようになっている。私は人々が国境が果してきた役割に、再び目覚めることになるのを期待している。

 今回のウハン・ウィルスによるパンデミックが、いつ終息するか分からないが、世界のありかたに冷水を浴びせたことは間違いない。

 もう一つよいことがあるとすれば、中国人が悪食(あくじき)の習慣を改めれば、センザンコウが絶滅から救われることになろう。