この話は、
朝日新聞が今でも続けている、
英語版における慰安婦強制印象操作の実態を告発し、
誤解を招く英語表現の使用中止の申し入れから始めたわけですが、
議論の最中から思わぬ方向へ展開して今日に至ります。
その要約がメルマガ【アメリカ通信】にまとめられていましたので転載します。
◆山岡・ケント
慰安婦関連の記事に必ず
「Comfort women who were forced to provide sex to Japanese soldiers
(日本兵に性行為を強要された慰安婦)」と挿入するのは、
強制連行や性奴隷化を連想させる印象操作であり、
止めるべきだ。日本政府はそれらを明確に否定している。◆朝日新聞
当該表現は「意に反して慰安婦にさせられた」という意味だ。
河野談話は慰安婦制度の強制性を認めている。◆山岡・ケント
吉田清治証言を虚偽と認めて
撤回した事実を海外に向けてしっかりと告知すべきだ。◆朝日新聞
2014年8月5日の朝刊に掲載した撤回記事は
英訳してネット上で公開してある。(URLを示す)—
ここで想定外の事態が発生します。確かにURLを打ち込むと、
その英訳記事が見られるのですが、
ケントさんも私も見たことがなかったのです。
そこで、二人で出演した動画でケントさんが思わずつぶやきました。「でもこの記事、半日かけて検索しても出てこないんだよねえ」
番組では該当記事のURLも大写しにして視聴者に見せました。
すると、番組を見ていたネットに知識のある
複数の方々からツイッターなどで連絡があったのです。「この記事、グーグルなどで検索されないように
プログラムされていますよ!」なんと、ネット民の調査により、問題の
『「済州島で連行」証言 裏付け得られず虚偽と判断」』という記事と、
『「挺身隊」との混同 当時は研究が乏しく同一視』
という慰安婦と女子挺身隊の混同を認めた
重要な記事のふたつだけに、
グーグルなどの検索エンジンを忌避するメタタグ、
と呼ばれるコードが仕込まれていたのです。それはこういうものです。
meta name="robots" content="noindex, nofollow, noarchive"
普通、ネット上に記事を配信する場合は、
できるだけ多くの人に読んで欲しいと考えます。
そのためには、検索エンジンの検索結果の
できるだけ上位にリストされることが重要です。
そのような結果を得るために様々な工夫を凝らすことを、
SEO(Search Engine Optimization)と呼びます。ところが朝日新聞は、2014年8月に配信した11本の関連記事のうち、
朝日新聞の虚報に関して最も核心的な
これら2本の記事だけに見つかりにくくする仕掛けを仕込んでいたのです。これを「逆SEO」と呼びますが、
訳ありの個人や組織が行うこととされています。
つまり、傷のある経歴を隠したい人や、
犯罪の連絡用サイトを運営する組織が
わざとサイトを隠すために行うことが多いのです。
どうりで見つからないわけです。一般の検索エンジンからだけではなく、
朝日新聞のサイト内検索を使っても
ヒットしないのですから徹底しています。そしてさらなる疑問が呈されました。
問題の2本を含む11本の記事すべてが、
英語で書かれているにもかかわらず、
朝日新聞デジタルの日本語サイトに
掲載されていることがわかったのです。The Asahi Shimbunという英語サイトは別に存在しています。
これはいったいどういうことでしょうか?実は、これらの記事は一見英語で書かれていますが、
プログラム上は「日本語の記事」と定義されていたのです。つまり、本来は英語圏の人々に読んでもらうべき記事が、
日本語の記事として日本語のサイトに掲載されているのです。
その上でさらに、最も重要な記事には
検索を回避する仕掛けまでしていたのですから、
海外の人の目に触れる機会は非常に少なかったと言えるでしょう。私たちは即座に「なぜこんなことをするのか?」
と朝日新聞に質問しました。
すると朝日新聞はこう回答しました。「公開環境に検索回避のタグを付けた記事をアップして、
みた目をチェックしたあと、タグを削除するはずが、
作業漏れでこのふたつの記事だけ取り忘れてしまいました。
ご指摘を受けて削除いたしました」(山岡要約)IT業界で働く方々は異口同音に、
そんな作業手順は考えられないと言います。
そこで私は、ITエンジニアの友人のヘルプを借りて、
改めて問題記事を様々な角度から自分で検証してみました。
そして驚くべきことを発見しました。なんと、挺身隊と慰安婦を混同したことを認めた
記事の日本語オリジナルにも、いつの間にか
例の検索回避のタグが挿入されていたのです。
詳しく調査してみると、2014年8月5日の配信時には
入っていなかったことがわかりました。つまり、問題のタグを
後から挿入していたことがわかったのです。
朝日新聞にこの矛盾の説明を求めました。すると朝日新聞は今度は
「指摘されたメタタグを削除する作業の際に
誤って挿入してしまいました」と答えてきました。(山岡要約)もちろん、まったく説明になっていません。
この混乱ぶりは、朝日新聞広報部自身、
このような細工を把握していなかった可能性を示唆しています。
しかし、これらは偶然に起こることではありません。
誰かの指示で、誰かが行ったということでしょう。私たちは、英訳された記事を
日本語サイトに置いておいても意味がないので、
英語サイトに移すように求めましたが、朝日新聞は
「日本語・英語で対照しやすい形でお示しする」
と言って拒否しています。いったい誰のために対照するのでしょうか?
日英の記事が並んでいるわけでもないのです。
もう完全に意味不明です。さすがにこれ以上続けても、
意味のある交信ができないと思い、
終止符を打とうと思ったのですが、
ネット民から次々と新たな発見が寄せられてきました。たとえば、メタタグが削除される前、
問題記事はグーグルでも
朝日新聞のサイト内検索でも出てこなかったのです。
その後メタタグが削除されて、
グーグルで検索できるようになったので、
当然朝日新聞のサイト内でも
検索できるようになっていると思い込んでしまいました。ところが、あるネット民の方が改めて検証したところ、
グーグルでは検索できても、サイト内検索では
依然として検出できなかったのです。どうやら、ネット上で公開されていても、
配信から一年を経過すると
検索できなくなるシステムになっているようなのです。さらに、あれだけ英訳記事を
英語サイトに移すことを拒否しておきながら、
聞蔵という朝日新聞の有料データベースでは
問題記事を含むすべての英訳記事が
英語サイトに収録されていたのです。有料で限られた研究者の目にしか触れない環境では
躊躇なく英語記事として収録されていたわけです。これは大きな矛盾ですね。
他にもありますが、せっかくネット民の方が
努力して発見してくれた事実なので、
改めて朝日新聞に書簡を送付しました。天網恢恢疎にして漏らさず。
事態は思わぬ方向へ発展し、まだ収束していません。
興味深いことは、朝日新聞との対話が
期せずしてオールドメディア(紙媒体)と
ニューメディア(インターネット)の衝突となったことです。
この顛末は近く本にまとめて出版します。私は8月に「情報戦はこう戦え」(育鵬社)という本を上梓し、
いかなる場合も
「感情的にならず、事実(ファクト)を積み上げて議論する」こと
の大切さを実体験を踏まえて説明しました。今回も、朝日新聞を批判することが目的ではなく、
現実に国益を損ねている具体的な問題を除去することを目的に
地道な努力を続けております。引き続き皆様のご支援をお願いいたします。
( 山岡 鉄秀 :Twitter:https://twitter.com/jcn92977110 )